映画の日
1896年(明治29年)11月25日~12月1日、エジソンが発明したキネトスコープが、初めて神戸で輸入上映され、この年から数えて60年目にあたる1956年(昭和31年)より、“12月1日は「映画の日」”と制定し、日本における映画産業発祥(日本で初めての有料公開)を記念する日としました。
一般社団法人映画産業団体連合会(映団連)では、「映画の日」の事業として、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)及び傘下の各興行組合のご協力のもとに、入場料金割引、特別招待の実施、地域に即した関連行事の開催等により、全国の映画ファン及び一般の消費者の皆様に向け、一層のサービス向上に努めるとともに、映画を劇場で観ることの魅力を周知することに努めております。
また、映画産業の活性化及び振興を図るために、「映画の日」中央式典を盛大に挙行し、映画業界で永年にわたり勤続されてきた方々及び映画産業の伸張に功績のあった方々を表彰しております。
第69回「映画の日」中央大会
<2024年11月29日(金) 於:グランドプリンスホテル高輪>
第69回「映画の日」特別功労章・感謝状 一覧 ※五十音順
【特別功労章】
◆「ゴジラ-1.0」製作チーム 様
◆シンエイ動画株式会社 様(アニメ制作会社)
【感謝状】
◆株式会社ガル・エンタープライズ 様(映画の劇場用予告篇等制作会社)
◆株式会社バカ・ザ・バッカ 様(映画の劇場用予告篇等制作会社)
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【後列左から】 安達木乃様(松竹エンタテインメント)/江澤正名様(経済産業省 商務・サービス政策統
括調整官)/中原裕彦様(内閣官房内閣審議官・文化庁文化戦略官)/虹美様(松竹芸能)
【前列左から】 池ノ辺直子様(バカ・ザ・バッカ 代表取締役社長)/市川南様(東宝 取締役専務執行役
員)/梅澤道彦様(シンエイ動画 代表取締役社長)/西川泉様(ガル・エンタープライズ
取締役)
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第69回「映画の日」式典では、映画業界で40年以上の永きに亘りこの業界を支えられてこられた永年勤続功労章52名の表彰が行われました。また、今年度、あるいは永年に亘り、日本映画界に多大な貢献をされた方々に対して、特別功労章 及び 感謝状の授与が行われました。
特別功労章は、第96回米国アカデミー賞に於いて、邦画およびアジア映画史上初の視覚効果賞受賞という歴史的快挙を成し遂げた「ゴジラ-1.0」製作チームの皆様と、設立以来約半世紀に亘り、日本を代表するアニメ制作プロダクションとして日本の映画興行を支え続けてきたシンエイ動画株式会社様の2組に贈られました。
また、感謝状は、劇場予告篇制作会社として長年に亘って映画業界に貢献されてきた株式会社ガル・エンタープライズ様と株式会社バカ・ザ・バッカ様の2社に贈呈されました。
■特別功労章
「ゴジラ-1.0」製作チーム 様
市川 南 様 (東宝株式会社 取締役専務執行役員)
「まずは、『ゴジラ-1.0』を支持してくださったお客様、興行関係の皆様、そしてマスコミ各社、東宝グループの皆様に、製作チームを代表して感謝申し上げます。
私は、今年の3月に米国アカデミー賞授賞式に参加した際に、いくつかのことを思いました。
まず、アメリカでの上映に私も立ち会ったのですが、アメリカのお客様が日本のお客様と同じ反応をしてくれました。山崎監督の技術力もありますが、ゴジラが出たら皆興奮し、人間ドラマでは感動してくれた。つまり、我々は海外に向けてゴジラを作ったわけではないのに、日本のエンタメの作り方がそのまま海外にも通用するんだと実感いたしました。
次に、『ゴジラ』は70年前に東宝の先輩クリエイター3人が生み出したキャラクターであり、その後30作に至るまで作り上げてきたシリーズの、リメイク・リブートしているに過ぎないということです。今後、我々は、『ゴジラ』に匹敵する物語をチャレンジして作っていかなければならならないと思いました。
最後に、米国アカデミー賞の「作品賞」を、日本のエンタテインメントで獲得したい。そして、ようやくそのチャンスが巡ってきたのではないかと感じております」
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■特別功労章
シンエイ動画株式会社 様
梅澤 道彦 様 (シンエイ動画株式会社 代表取締役社長)
「本日、このような場に立てるということを非常に光栄に思います。
シンエイ動画は1976年創立で、2024年の9月でまる48年、現在49年目に入りました。その間に、映画『ドラえもん』46作品、映画『クレヨンしんちゃん』33本と、シリーズだけで79作品を作って参りました。その他、併映した短編も含めると、120本以上の劇場用作品を制作してきました。今、私がこの場に立てているのは、創立当時からいた先輩方の努力のお蔭だと思います。まずは、先輩たちに感謝したい。そして、原作を預けてくださった原作者の方々、アニメーターも含めると数千人いるのではないかと思うスタッフ達、そして、配給会社、製作委員会の皆様など、全ての人達に感謝したいと思います。
我が社は、2026年に50周年を迎えます。『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』以外にも複数作品を制作準備中でございます。そして、本日、『PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX』も初日を迎えました。これからも、50周年、60周年、70周年と作品を作り続けていきたい。そうしていくことが、私達が映画業界に貢献していくことだと思っております」
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■感謝状
株式会社ガル・エンタープライズ 様
西川 泉 様 (株式会社ガル・エンタープライズ 取締役プロデューサー)
「本日はこのような素晴らしい賞を賜り、心より御礼申し上げます。ガル・エンタープライズを代表し、この場でスピーチをさせていただけること、大変光栄に感じております。
創業以来、私たちは映画の『予告編』に情熱を注ぎ、その一瞬で観客の心を掴むことを目指してきました。その中で、大切なことに気づいたのが私の趣味の『釣り』でした。
船で釣りをしているとき、ふと『予告編は釣り針のようなものだ』と思ったのです。釣りでは、ただ針を垂らすだけでは魚はかかりません。エサや仕掛けに工夫を凝らし、魚の興味を惹きつけることで、ようやく引き寄せることができる。それと同じように、予告編もただ映像を並べるのではなく、観客の心をぐっと引き寄せ、映画の世界に誘うための“釣り針”でなければならないのだと思ったのです。
ガル・エンタープライズでは、観客の皆さまが映画の世界に足を踏み入れるきっかけとなる『最初の一瞬』を作り上げることを使命としてきました。そして、この場に集う皆さまもまた、映画を通して、多くの方々に夢や感動、希望を届けていらっしゃいます。その情熱が、映画業界全体の未来を切り拓いていることに改めて敬意を表したいと思います。
さらに、私たちの世代が築き上げてきた技術や思いを、次の世代へと繋げていくことも大きな使命だと感じています。新しい才能が業界に加わり、さらなる発展と革新が起こることを心から期待しています。ガル・エンタープライズも、若い映画人たちが存分に活躍できる場を提供し、共に未来を創り上げていく所存です。
これからも映画という大きな船が、ますます多くの人々に夢と感動を届け続けることを願い、私の挨拶とさせていただきます。本日は、誠にありがとうございました」
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■感謝状
株式会社バカ・ザ・バッカ 様
池ノ辺 直子 様 (株式会社バカ・ザ・バッカ 代表取締役社長)
「本日は、本当に素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。
40数年前、私は予告篇を作っている小さなプロダクションに入りました。社長は新東宝のカメラマンで、とても厳しい方でした。一方、社長はとても面白い人で、『これから予告篇を作るのはとっても面白くなるぞ! 女性の時代も来るぞ! だから、いっぱい勉強して、いっぱい映画を観て、予告篇を作っていけ!』と教わりました。勿論、演出の仕方、編集の仕方、映画とは、お茶の出し方、経営の仕方、利益の出し方、お局には嫌われるな!とか、色々なことを教わりました。社長には、『元気で明るく予告篇を作っていけ』という大切なことも教わりました。
そして、私も会社を作り、今こうしてここにいるわけですが、そういう諸先輩の方々たちが予告篇という道を作ってくださったと思っております。少し前までは、邦画は助監督が作るもの、洋画はオリジナルの予告にスーパーを入れるだけで製作の方が作っておりました。それが広告展開になって、ガル・エンタープライズさんを始め、私たちのように沢山の人たちが予告篇を作る今の時代になりました。私も、映画の予告篇を作ること、そして大好きな映画の元で40年近くこの仕事をさせていただいていることに、とても喜びを感じております。
本日は、ガル・エンタープライズさんと私共バカ・ザ・バッカが予告篇制作会社の代表として感謝状をいただきましたが、諸先輩たちが予告篇の道を作ってきたこと、そして、今、必死になって予告篇を作っている仲間たち、そして、劇場で予告篇を観て、『こんな予告篇を作ってみたい』と思ってくれている若い人たち、そういう方たち皆が貰った感謝状だと思っております。これをいただいたからには更に精進して、もっともっと元気に、ますます頑張っていきたいと思います」
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