活動内容

映画の日


 1896年(明治29年)11月25日~12月1日、エジソンが発明したキネトスコープが、初めて神戸で輸入上映され、この年から数えて60年目にあたる1956年(昭和31年)より、“12月1日は「映画の日」”と制定し、日本における映画産業発祥(日本で初めての有料公開)を記念する日としました。
 一般社団法人映画産業団体連合会(映団連)では、「映画の日」の事業として、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)及び傘下の各興行組合のご協力のもとに、入場料金割引、特別招待の実施、地域に即した関連行事の開催等により、全国の映画ファン及び一般の消費者の皆様に向け、一層のサービス向上に努めるとともに、映画を劇場で観ることの魅力を周知することに努めております。
 また、映画産業の活性化及び振興を図るために、「映画の日」中央式典を盛大に挙行し、映画業界で永年にわたり勤続されてきた方々及び映画産業の伸張に功績のあった方々を表彰しております。





第68回「映画の日」中央大会

<2023年12月1日(金) 於:グランドプリンスホテル高輪>

第68回「映画の日」特別功労章 一覧
※五十音順


◆ 阿部 秀司 様  (プロデューサー)

◆ 井上 雄彦 様  (漫画家)
 ※「THE FIRST SLAM DUNK」原作、脚本、監督

◆ 尾田 栄一郎 様 (漫画家)
 ※「ONE PIECE」シリーズ原作/
  「ONE PIECE FILM RED」総合プロデューサー

 

第68回「映画の日」集合写真

©第68回「映画の日」執行委員会
前列(左から) 中野博之様(集英社)/井上雄彦様(漫画家)/山崎貴様(映画監督)
後列(左から) 吉冨さくら様(松竹芸能)/来賓:牛山智弘様(経済産業省大臣官房審議官)/来賓:中原裕彦様(文化庁文化戦略官)/高橋成美様(松竹芸能)



 第68回「映画の日」式典では、映画業界で40年以上勤務された永年勤続功労章31名の表彰が行われました。また、今年度、あるいは永年に亘り、日本映画界に多大な貢献をされた方々に対して、特別功労章の授与が行われました。

 特別功労章は、長年にわたり実写からアニメまで幅広く多数の映画をプロデュースされ、次々とヒット作を産み出すとともに、若き才能を見抜き、育て、数多くの後進の育成にも努めてこられた阿部秀司さんが受章されました。
 また、漫画『SLAM DUNK』の原作者であり、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の原作・脚本・監督を務められ、長期間に及ぶ製作期間の全てのプロセスに於いて一切の妥協を許さず、最高クオリティのアニメ作品を作り上げ、世界中を熱狂させた井上雄彦さんに特別功労章が贈られました。
 また、劇場版『ONE PIECE』シリーズ全15作品の原作者であり、最新作『ONE PIECE FILM RED』で総合プロデューサーを務められ、映画館だからこそ体験できる躍動感溢れる作品を創り出し、多くの観客を魅了、興行収入200億円を突破するなど、その輝かしい実績に心からの敬意を表し、尾田栄一郎さんに特別功労章が贈呈されました。

特別功労章:阿部秀司様(阿部様はご欠席のため、山崎 貴 様(映画監督)が代理登壇)

■特別功労章
阿部 秀司 様 (プロデューサー)

(阿部様はご欠席のため、山崎 貴 様(映画監督)が代理登壇されました)


「本当は、本人がどうしても来たいと言っていましたが、都合がつかず、僕が名代で来ることになりました。
阿部さんは、何と言っても、若い監督にとんでもないチャンスをいきなり用意してくれました。僕をはじめ、沢山の監督たちが素晴らしいデビュー作を飾れたことは、阿部さんの大きな功績の一つだと、皆さまにも覚えておいていただきたいです。
まずは阿部さんが『どうしてもやるんだ』と言うところから始まり、沢山のヒット作を生み出してきました。『ALWAYS 三丁目の夕日』は、本当に味方がいなくて、阿部さんだけが『絶対やるんだ』と言っていました。その熱意に感化されて、阿部さんがそこまで言うのならしょうがないなと言って皆参加するのだけれど、最終的には凄く評価される作品になって、阿部さんは凄かったのだなと、何度も思いました。そういうローンチ(立ち上げる・発進させる)するチカラとか、作品を軌道まで無理やりにでも押し上げるチカラを持った本当に凄いプロデューサーだと思っています。
そして、僕個人の話で恐縮ですが、何の実績もなく、ただVFXを作っていた人間を、いきなり大きな予算の映画の監督に、「オマエ、自分で書いたのだから自分でやればいいじゃないか」と、色んな人たちがキョトンとする中、「コイツが監督やるんです」と、かなり無理やりに道を切り開いてくださったということは、僕は忘れてはいけないなと思っております。 とにかく僕は、阿部さんに映画監督にしてもらいましたし、その中で、一緒に色んな素晴らしい瞬間に立ち会えたことに心から感謝しています。
その阿部さんが、こういう素晴らしい章をいただいたということは、本人もとても喜んでいましたし、凄く有難いと思っております」



特別功労章:井上雄彦様

■特別功労章
井上 雄彦 様
(漫画家/『THE FIRST SLAM DUNK』原作・脚本・監督)


「映画タイトルに“ザ・ファースト”と付けたため、『じゃあ、セカンド、サードはあるのか?』と言われる結果となり、ちょっと後悔しています」と会場を笑わせた井上氏。
「『スラムダンク』はもともと漫画で、私も漫画家で、映画の世界では完全なる新参者なのですけれど、このような歴史と栄誉ある章をいただき、ありがとうございます。
漫画は、読むペース・場所・環境を、読者の方が作れるメディアだと思います。例えば、寝っ転がってでもいいし、自分の好きなモノを食べたり飲んだりしてもいいし、途中で止めてもいいし。だけど映画は、約2時間、映画館で座り、大きなスクリーンで、凄く良い音響で、自分の好きな食べ物・飲み物は持ち込み禁止でと、そういう環境で楽しんでもらうメディアだと思っています。なので、『スラムダンク』を映画にすると決心した時に、映画館で観てもらうに値するモノを作らないといけない、と最初に強く思いました。それ以降も、作っている間も、作り終わって公開してからもずっと、「劇場での体験を最大化したい」ということを旗印(はたじるし)に、チーム一同、やってきたつもりです。
『THE FIRST SLAM DUNK』は、スタッフの皆さんは百戦錬磨のプロフェッショナルな人達だと思うのですが、なにせ僕は映画が初めてで、監督も初めてなのですから、ある意味、スタッフの人達にとってもこの仕事は初めてになったのかもという気がしています。初めての事が多く、皆、その初めてを夢中になって必死で答えを探しに行った。そして、少しでも近づこうとしたというのが、僕たちの製作過程だったと思います。公開後も、観てくれるお客様とのやり取りや、宣伝も含めて、夢中で正解を探すというか、お客さんが何を一番喜んでくれるかを探す道のりだったなと思うし、今もまだ探しているような気がします。
沢山のお客様に観ていただいて、こういう場に呼んでいただいて、こういう章をいただけるようなところまで来たという事は、何か少しでも映画という形に近づけて、2時間に値するモノが出来たのかなと、ちょっと安堵しております」



特別功労章

■特別功労章
尾田 栄一郎 様
(漫画家/『ONE PIECE』シリーズ原作/
『ONE PIECE FILM RED』総合プロデューサー)

(尾田様はご欠席のため、中野 博之 様(㈱集英社「週刊少年ジャンプ」編集長)が代理登壇されました)

「本日は、栄えある章をいただき、本当にありがとうございました。受章されました尾田栄一郎先生に代わりまして、心よりお礼申し上げます。
『ONE PIECE』は、1997年の連載開始以来、少年ジャンプ紙上だけではなく、全世界の漫画のトップを走り続けています。テレビアニメーションも並走して20年以上の放送が続いており、エンターテイメントの歴史をみても、このような例は見つけられない、まさに唯一無二の作品となっております。
そんな『ONE PIECE』の昨年の大きな成果の一つといえる劇場版『ONE PIECE FILM RED』が、先日のアンコール上映も好評をいただき、興行収入200億円を突破することが出来ました。
音楽のチカラとの融合や、劇場以外でのプロモーションなど、また、新しいエンターテイメントの可能性と存在感を示すことが出来たのではないかと思っております。本当に素晴らしいアニメーションを制作いただいたアニメ制作チームの皆様には感謝したいと思います。
そして、本日、尾田先生自身の功績も評価いただいたことも嬉しく思っています。漫画というジャンルは、他のどんなエンターテイメントと比べても、作家一人の圧倒的なパワーによって作られている、そんなエンタメだと思っています。それは企画立案、脚本、キャスティング、演技、撮影、編集作業、それらを全て一人でこなしているようなモノです。凄い作家は、プロデューサーとしても有能である、井上雄彦先生もそうですが、今回それが証明されたようで嬉しく思っております。
これからも私達は、尾田先生をはじめとする漫画家をしっかりサポートして、新しい作品を生み出すことを誓いまして、本日の受章の言葉とさせていただきます」





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